誰が、どうやっても、防げない自殺もあるかもしれません。
しかし、防ぐことのできる自殺も少なくありません。
防ぐことのできる自殺のひとつに、うつ病による自殺があります。
自殺が起こる背景には、多くの場合、うつ病、アルコール異存、
薬物依存、統合失調症など「こころ」の病気がひそんでいます。こ
のなかでも、もっとも割合が高いのは、うつ病です。
うつ病になると、心が疲れきって、適切な判断や決断ができなく
なります。悪いことばかりを考えるようになり、将来に希望が見出
せず真っ暗に思えます。そして、絶望感と孤独感に押しつぶされそ
うになり、死んでこの苦しみから逃れたいと思うようになります。
苦しみが、死の恐怖よりも強くなってしまうのです。
うつ病の人は死にたいから死ぬのではありません。うつ病によっ
て、自殺という間違った選択を強いられるのです。
実はうつ病は、脳のなかの神経に作用する物質の働きが悪くなっ
て起こることが解明されています。ですから、適切な治療を受ける
ことで直る病気とも言えます。
うつ病を治すことがすなわち、自殺を予防することになるのです。
しかし、うつ病とは全く気づかずに苦しんでいる人もいます。
また、「思い当たる原因があるのだから、落ち込んで当たり前」と思っ
ている間に、うつ状態を通り越して、うつ病になってrしまっている
人もいます。
身近にいる人が、このごろ疲れきってあまりにも元気がないとき
や、不眠や食欲不振をもらすときなどは、うつ病である可能性も考
えて、一度精神科の医師を受診してもらって下さい。
(次ページへ続く)
(制 作: 社団法人 大阪精神科診療所協会)
|