「死ぬしかない」ことと「死ぬしかないと思い込んでいる」ことは、 違います。

 自殺する人は、死ぬことで頭がいっぱいになっていて、その悩み を解決するには死ぬ以外に方法はないと思い込んでいます。
 自殺した知人がひとりもいない。という人はないと思います。
 少し思い出してみて下さい。
 あとで、その原因らしきものを聞いたとき「えっ、そんなことで」 と意外に思ったことは、ないでしょうか。
 多重債務に苦しんでいるなら自己破産をすればいい、それでもだ めなら、一時的にでも生活保護を受ければいい、うつ病なら治療を 受ければいい、できない仕事は断ればいい、困ったことがあれば分 かる人に相談すればいい、一人で持てない荷物なら誰かに手伝って 運んでもらえばいい・・・。そんな、外から見ればなんでもない逃げ道も、 見えなくなり、思いつかなくなってしまっているのです。
 相談を受けたあなたが、「死ぬ以外にも道はあるのに」と思ったと きは、それをそっと知らせてあげてください。具体的な道があれば、 そっと示してあげて下さい。

 でも、決して無理はしないでください。

 あなたひとりで自殺をふせぐことは容易なことではありません。
 あなたが、誰かの自殺を止めなければならないと、考えすぎない でください。また、もしも自殺を止められなかったとしても、自分 を責めないで下さい。

(次ページへ続く)

(制 作: 社団法人 大阪精神科診療所協会)


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